振り返ると、あの頃のシゲコ、スターであると自分を誇らしげに語っても嘘偽りがないバンカーウォーズだった。いつも行内一番、その根底にあるのは30代で代理になったこと、そして34歳で次長。考えられないスピード出世。しかも42歳で、長崎支店副支店長。こういう上昇気流で、42歳のときに知り合ったクラブ勤めの女と所帯持ちましたとは、中々、言えないといういかんともし難いジレンマが桜島大噴火の噴火口のように自身の中にあって、ここで出来ちゃった婚しました~と行員達の面前でいけしゃあしゃあと言えない、真摯な紳士たる自分、それをバンカー魂と呼ばずどう呼ぶ??って自分に問い掛けていたし、そのマンションが全く銀行からお金が出ていなくて自分が別に最初借りていたものならそう悩まずとも良かった。俗にいう住宅費が銀行から何割か出ていてそれに転勤族・・・。いずれ、そこは、解約しなければならず、いくら妻が気に入っていたとしても・・・。悩める子羊は本当に羊歳生まれ。それでも話すという一抹のカプセル効果はあって、あの甘酸っぱい声、ボイスにまだ、自分が魅了されていることがイタイケではあった。そうだ用事なくても掛けてみよう!!仲間のホールインワンテレカしかも時期はフォールであった。ではパラノイアいきますかあ~もしもし!!あああまたあんたか・・・。今晩のおかずはなんだ?子供達のご馳走は?今夜はお隣の人が経営のレストランの出前!!こんなリッチってないよ、だって、お隣の人がうどん屋なんてさ。そうかあ、夜中にそういえば聞こえていたな、麺を切る音が・・・。こんないい場所、一生棲みたいね~~~わ、わかった、じゃあまたな・・・。