パラノイアな主婦シゲコの頭の中にあるいかんともし難い憤怒の正体とは?それは、この新築して入場したこの家での生活が16年を経過したというのに、一度も妻キャロルと肉体的に結ばれることがない事実。それを打開するために自分から、大胆な発言をして誘ったがダメだった。狸寝入りで、誤魔化すという最も初歩の、誰にでも見え見えな汚い戦法で出鼻をくじかれて傷心の身・・・。しかしながら、コラ、起きろ!!とも言えないのが、腕っ節の弱さ。何しろ、このキャロルのパンチで殴られれば、あのレスラー級の弟ですら、二メートルは吹っ飛ぶという強さなのである。才能あるキャロルがもしも世に認められれでもすれば、自分は置いてきぼり。それを思えば、キャロルを干してくれてありがとう!!のパラノイアな主婦シゲコの本心なのであった。ではいきますか~チョーコーのかけぽんとかけしょうゆの売り出しの日が、主婦シゲコののろしであり、出陣の日。その日は他に何があろうとも、レジに二回とは言わず、三回は並ぶのだ。内ポケットの四個ある防寒着を着ていざ、出陣~~~この時ばかりは、キャロルも声を掛ける。車でいきましょうよ??と。するとどうだろ?車が尋常化して、妻キャロルに車を取られるのを畏れてか、いいや徒歩でいく・・・。お客さん、さっきもレジ通りましたよね?ああ、それはサードでは?俺はファーストだ。そうやってバクバクするのもスリルやねん。こういうレジとの言葉のやり取りの果報こそが、常連組への入加許可。今では、そうやって、みんなに一目どころか、二目三目を置かれ、ジャックポイントならぬ消費の帝王に・・・。あの人は、消費の帝王、この街のニコラスだよ?ってね。